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先日、New Scientist誌に掲載されたアンチオキシダントサプリメントの疾患予防への効果に疑問を呈したDr Lisa Meltonの記事が健康産業、医療従事関係者などから様々な波紋を呼んでいます。
 
疫学的な科学的証拠によって、アンチオキシダントサプリメントの摂取が様々な疾患のリスクを軽減させるといわれていますが、無作為化比較試験(RCTs)による結果としては、果物や野菜から抽出、または精製、合成されたアンチオキシダントサプリメントは自然の食品と同様の効果をもたらさない、場合によっては害を及ぼす場合もあるということです。
 
NutraIngredientが読者からこの記事のフィードバックを求めたところ、様々な意見が寄せられました。
 
サプリメント同業組合のthe Council for Responsible NutritionのDr Andrew Shaoも”アンチオキシダントの健康上の利益は必ずしもベストなアプローチではない”といっています。

Dr Adriana Descalzo from the Centro de Agroindustrias, INTA, Castelar in Buenos AiresはDr Meltonと同じ見解で”自然異性体に含まれる生体高分子のビタミン、ポリフェノールが細胞のメカニズムのとって細胞にもっとも利用しやすいということは明確である。”といっています。

Richard LeFebvre, Sweetwater Natural Productsは
「独立した化合物を抽出、精製、合成されたものは自然のものとは異なるということでしょうが、自然のものから抽出されているものはその活性と効能を増加させるはずです。多くの疫学研究がそれを証明しており、Dr Melton は科学の大きな体系を無視していえるともいえます。ボルドー大学のDr Masquelierを引き合いに出せば、彼の研究しているポリフェノール(OPCsオリゴメリック・プロアントシアニジンは臨床においてその効果が証明されていますからね」と述べています。

Ademola Okubena, from Hains Herbal/Health Forever Productsはこの記事について要点が異なっているのではないかとも言っています。アンチオキシダントサプリメントが自然の果物や野菜に含まれる抗酸化物質とは同等の効果をもたらさないという意見には同意をしますが、サプリメントの意義は自然に含まれる食物と同様の効果を如何にして手に入れるかというよりは、効果のある栄養素をサプリメント(補足)どのようにすれば付加的な効果を得られることができるかと考えるべきではないかということです。

医師であり、栄養学者でもある、Wisconsin-based James R Bowmanもサプリメントはあくまでも自然の食品の補助的な役割を果たすということを考えるべきであるという立場をとっています。

Dr Bowmanは”不十分な研究、皮相な見解から、この記事を研究の結果や結論としてしまうことには反対である。このようにすぐに結論として出してしまうことは多くの誤解を招く”といっています。



色々な意見がありますが・・・、

本来科学、研究というものは連続的なものであり、「サプリメントはいけません。以上。」といったように、発展し続けている研究に終止符を打つような言い方は、短絡的と言われても仕方ありません。

たんぱく質をプロテインから取るか、自然の食品からとるかのところでも述べましたが、確かに自然食品にはサプリメントには作り出せないような絶妙のバランスで栄養素が含まれ、それぞれの栄養素が吸収を助け合い、うまい具合に相互に作用しあっています。また現段階では化学的に合成できない栄養素、効能が良く知られていない栄養素も含まれていることでしょう。

しかしながら、それによって効果の確かめられている抗酸化物質の存在が完全否定されてしまうのはおかしな話です。

とりあえず、可能な限り自然の食品から栄養を摂取するというのはありきで、あと補完すべきものを補うためには、付加的に効果を得るためにはどのような栄養補助食品の摂取の仕方をすればいいのか。

抽出や合成が吸収が早すぎて体内にとどまる時間が短すぎ効果が十分に得られない、単体だけではその効果を十分に発揮できない、ではどうすればいいのか。

どのようにすれば、付加的に有効性のある栄養素を自然の食物を取り入れるのと同様に摂取することができるのかなど、そのような点を建設的に考えていくのが研究者の使命ではないでしょうか。

Dr Bowman氏の意見同様、このような研究途中の記事をこのような公の場で発表してしまうのは非常にまずいでしょう。なぜならマスメディアがこのような意見を大々的に述べ、それが人々の脳に擦り付けられてしまっては、今後の研究に支障を与える可能性がないともいえないからです。研究というものは常に正確且つ慎重に行われるべきですが、その研究の結果の発表の仕方というのも、それ以上に慎重に行うべきものであるともいえそうです。


 
 
 
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