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●喫煙について、その1(能動喫煙と喫煙関連疾患)

■タバコの葉を燃焼させて生じるタバコ煙にはニコチンに加え、一酸化炭素をはじめとする7000種類以上の物質が含まれているが、これらはタバコの葉からのほか、タバコ製品を作る際に加えられる様々な化学添加物の揮発物質や熱分解産物にも起因する。

タバコ煙は気道から肺の表面にいたる広範囲に沈着する微細な粒子相と、気相からなる。タバコの煙に含まれる成分のうち、有害物質として認定されているものは数百種類に上り、そのうち約70種類が発がん物質である。

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その中には猛毒のシアン化水素や、ダイオキシンなども含まれるが、なかでも健康有害性が大きいのがタール、ニコチンと一酸化炭素、そして各種刺激物質である。

■【なおニコチンや水分を除去した粒子相をタールと総称するが、タバコ煙の発がん性の大部分は、発がん物質を含む気体となった粒子相による。気相には、タバコ煙の顕著な臭いのもととなっている揮発性物質のほか、一酸化炭素、気道刺激物質が含まれている。】

煙の吸着を目的としてさまざまなフィルターが開発され、「低タールタバコ」(いわゆる「軽いタバコ」)が流通するようになってきた。「低タールタバコ」はフィルターチップの周囲に沿ってうがたれた多数の小孔から空気が流入し,吸入する煙を希釈するつくりとなっていて主流煙ではタールやニコチンなどの濃度が減少する。

しかしながらニコチン摂取における自動調節能の存在、フィルターの穴を指や口唇で塞ぐなどの行為に煙の成分の測定方法の問題も加わり、喫煙者が体内に吸収する有害物質量は低タール低ニコチンタバコにおいても表示ほどは減少していないことに留意すべきである。

■タバコの葉を燃やすすべての利用形態において有毒で発がん性のある煙が生じる。喫煙が原因で生じる病気の発生頻度は、喫煙頻度と吸入する深さによって異なる。

タバコや葉巻き使用者は口腔内粘膜から必要なニコチンを吸収して肺に煙を吸入しない傾向があるため、有毒物質や発がん物質の肺への影響は、紙巻きタバコより少なくなっている。

紙巻タバコでは口腔内からのニコチンの吸収は少なく、喫煙者がニコチン依存を満足するに足るニコチンを吸収するにはより大きな表面面積をもつ肺まで煙を吸い込むことが必要となる。

上気道がんのリスクは、紙巻タバコと葉巻喫煙者では同等であるが、葉巻きしか吸わない喫煙者では肺がんや慢性閉塞性肺疾患のリスクが低いのはこうした理由によると考えられている。

【しかしながら紙巻タバコからパイプや葉巻きに切り換えた喫煙者では、紙巻タバコ同様に煙を深く吸入する傾向にあり、リスクは増大する。そしてどのようなタバコの使用形態であっても、タバコの煙への暴露の頻度や吸入が同等であれば、その結果生じる疾患も同様である。】

■タバコ煙に含まれるニコチンは副腎皮質を刺激してカテコールアミンを遊離し交感神経系を刺激して末梢血管の収縮と血圧上昇,心拍数の増加をきたす。また強力な血管収縮および気管支収縮作用を有するトロンボキサンA2の遊離作用も有する。

タバコ主流煙には一酸化炭素が4%(重量%)程度含まれており血液中のヘモグロビンと強固に結合して(酸素の約250倍)慢性の酸素欠乏状態を引き起こす。

タバコ煙はコレステロールの変性を促進し、血管内皮を障害するとともにHDLコレステロールを減少させ,動脈硬化を促進する。これが一酸化炭素による酸素欠乏や血管異常収縮とも相まって循環器疾患のリスクを増大させる。

『喫煙の健康影響・禁煙の効果』より
https://www.j-circ.or.jp/kinen/iryokankei/eikyo.htm