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筋損傷−再生過程と適応

●伸張性運動に対する損傷抑制効果

伸張性負荷によって損傷した筋は、その修復、再生過程を通して元の状態に戻るだけではなく「適応」すると考えられる。その顕著な例として伸張性運動に伴う筋損傷の程度は、初回に比べ二回目以降には軽減される。これを繰り返し効果(Repeated bout effect)と呼ぶ。

例えば運動後の等尺性最大筋力の回復は1回目に比べて2回目で有意に早くなり、血漿CK活性値は2回目の運動後には全く上昇しない。遅発性筋肉痛においては二週間後の運動では顕著にその程度が軽減されるが、6ヶ月後では抑制効果は見られない。

筋損傷から回復が完了しないうちに伸張性運動負荷を与えた場合、更なる筋損傷は生じず、最初の伸張性運動からの回復が遅延することもない。このような筋の損傷抑制効果についてどのような適応が起こっているかはまだ詳しくわかってはいないが、神経系、結合組織、筋細胞それぞれで適応が生じている可能性が指摘されている。

現在のところ筋節数の増加が有力視されているが、6ヶ月程度は残存すること、損傷が完全に回復しないうちから損傷の抑制効果が見られることから他のメカニズムがあることも考えられている。

また損傷部位での細胞骨格タンパク質の再構築、熱ショックタンパク質の発現など筋損傷抑制に関与している可能性も指摘されている。

「筋力をデザインする」より
 
 
 
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