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●不活動によって運動神経はどう変化するか

筋肉が落ちてしまう原因は様々ですが、その中でも重要なのが神経です。

運動神経が死滅してしまうと、それらが支配していた筋繊維が除神経された状態となり、萎縮や消失していってしまいます。

この現象は、遅筋繊維より速筋繊維に、腕より脚に、屈筋より伸筋(伸ばす筋肉は使わないと弛緩してゆるゆるになる)において顕著に出ると言われています。

神経の死は、加齢というよりは不活動、「使わなさ過ぎて身体が不要と判断しアポトーシス(細胞の自殺)を起こしてしまっているのではないか」と考えられています。


●運動単位の種類

運動単位とは、ひとつの運動神経によって支配されている数本から数百本の、ほぼ同じ性質を持つ筋繊維の一つのグループです。この一つのまとまりを運動単位とよび、これが筋の最小単位となります。

筋繊維が大きくtype l(遅筋)、type lla,llb(速筋)に分けられるように、運動単位も同様で、

・疲労抵抗性の高いS型運動単位
・速い収縮をするが疲労抵抗性の低いFF運動単位
・速い収縮をし、疲労抵抗性も高いFR運動単位

の3つの型があります。

そして、主に減少していくのはFF運動単位とtypell繊維(速筋)です。

FF運動単位が死滅し、除神経状態となったタイプll繊維はどうなるかというと、S型運動単位が再支配し、運動単位のサイズを拡大し、再支配した筋繊維の性質をタイプl(遅筋)に変えてしまいます。

ちなみに、一度、運動単位が再支配されてプロテクトがかかると他の神経は繋がれなくなるのと、支配筋繊維数が増えたS型運動単位の収縮速度は、正常なS型運動単位より遅くなるそうです。


●ジャンプや全力疾走するためのFF運動単位より、姿勢保持に使うことが多いS型運動単位が残されていくのは、人間の防衛本能みたいなところかもしれませんが、

運動機能を高めていこうと考えた場合、これはマズイですよね。サイズも力発揮も速筋の方がポテンシャルが高いので。

となると課題は如何に出来るだけ頻繁に速筋を使うようにするかですが、

@高重量(ただし、やり過ぎると関節がもたない)

Aネガティブ(ただし、やりすぎると耐性が出来て、筋損傷は起こりにくくなる)

Bノンロック(めちゃくちゃキツイ(笑))

Cバリスティック、爆発的挙上

(※@はサイズの原理、ABCはサイズの原理の例外)

などがあります。

それぞれ長所&短所がありますし、一つに固執すると耐性が出来てしまいますので、使い分けると良いと思います。

参考

・『筋力をデザインする』吉岡利忠、後藤勝正、石井直方 編

・運動の神経科学 西野仁雄、柳原大 編

・“筋肉博士”石井直方のやさしい筋肉学 第28回 加齢とともに速筋線維が減る、その逆はない2016/6/6 コーチング・クリニック(ベースボール・マガジン社)https://gooday.nikkei.co.jp/…/colu…/15/040200001/052600029/…