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●マグネシウム

マグネシウムの作用として、300種類以上の酵素の活性化による代謝調節、エネルギー産生に重要なATPaseの活性調節、生体膜に存在しATPaseが関与する交換ポンプによるイオンの輸送、リボソームの凝集を介したタンパク質合成の調節、循環器疾患予防、体温や血圧の調節、神経の興奮、筋肉の収縮などの生理作用を有している。

マグネシウムの所要量は一日あたり320mg、女子260mg、緑黄色野菜、種子、ナッツ類、豆類、海藻類などに多く含まれる。

・その他

もう一つ収縮(特に弛緩する際)に欠かせない
ビタミンC、カルシウム、カリウム、リンの代謝を助ける
ビタミンB群やEの働きを助ける
欠乏すると疲労、痙攣、刺激への過敏症、筋力低下などの症状を引き起こす。 


●ナトリウム、塩素

細胞外液では、ナトリウムが主な陽イオンであるのに対し、細胞内液ではカリウムイオンが主な陽イオンである。

ナトリウムとカリウムはそれぞれ細胞外液と細胞内液の浸透圧調節と水分維持に関与している。塩素は細胞外液の主な陰イオンであり、胃液中の塩酸となり、胃内酸性pHの維持、ペプシンの活性化、殺菌などの役割を担っている。

体内のナトリウムと塩素値を基本的に調節する主要な系として、レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系がある。

多量の発汗により体内ナトリウムが低下すると、血流量減少を腎臓の傍糸球体装置が感知し、そこの細胞から酵素レニンが分泌される。この酵素は、肝臓由来のレニン基質ペプチドであるアンギオテンシノーゲンを分解して、アンギオテンシンIにする。アンギオテンシンIは肺を通過する間にアンギオテンシン変換酵素(ACE)によってアンギオテンシンIIに変換され、副腎皮質からアルドステロンの循環系への分泌を促進する。

アンギオテンシンIIは、強力な血管平滑筋収縮作用により、主に近位尿細管でのナトリウム再吸収を促す。一方、アルドステロンは遠位尿細管の集合管細胞の受容体に結合し管腔側細胞膜のナトリウムチャネルの透過性を亢進させるとともに毛細管側のNa+、K+-ATPaseポンプを活性化させ、ナトリウムの再吸収を増大させる。

これらの一連の働きにより、身体のナトリウムと塩素が保持される。

 

●カリウム

カリウムもナトリウムと同じく腎糸球体で濾過され、再吸収を受けたり、排出されたりする。

腎におけるカリウムの排出も遠位尿細管や集合管においてアルドステロンによって主に調節されている。アルドステロンは大腸粘膜細胞においてもNa+、K+-ATPaseを活性化させ、腎臓からカリウム排出が低下した場合、このホルモンの作用で糞中へカリウム排泄が増大する。

カリウムを豊富に含む食品としては緑の葉が付いている野菜、バナナ、柑橘類、ドライフルーツなどがある。

リン

カルシウムは人体中で1.4%ほどを占め、炭素、水素、酸素、窒素に次いで5番目に多く、無機物としては最も多い元素である。リンも無機物としてはカルシウムの次に多い元素である。

体内のカルシウムの99%、リンの85%以上が骨に存在し、骨の成熟とともに、結晶型のヒドロキシアパタイトとして骨に強靭性を与えている。

人体中のカルシウムの残り1%は血液と組織に分布し、筋肉の収縮と弛緩、血液凝固、神経伝達、生体膜の物質輸送と分泌に関与するほか、その細胞内外で一万倍にも及ぶ大きな濃度落差に基づいて細胞内情報伝達にも重要な役割を果たしている。(内:外=1:10000)。

またリンもサイクリックAMP、サイクリックGMP、イノシトール脂質代謝産物などセカンドメッセンジャーの構成成分として細胞内情報伝達に関与しているほか、リン脂質として生体膜の構築に関与し、DNAやRNAなどの骨格を形成し、細胞内エネルギー代謝に重要なATPやNAD、NADPの構成成分となっている。

●カルシウム

@カルシウムの腸管吸収

カルシウムの腸管からの吸収は、小腸上部とくに十二指腸や空腸上部では能動輸送され、1α、25-(OH)2D3が腸粘膜上皮細胞の受容体に作用し、上述のCaBP合成を介して促進するが、それより下部では主として受動輸送される。

カルシウムを体内に貯留させるためには少なくとも200mgの摂取が必要であり、1600mg以上の摂取では実質的なカルシウムの吸収量は減少するという。

Aカルシウム吸収に影響する因子

カルシウム吸収を促進する食品中の因子には、1α、25-(OH)2D3のほか、リジン、アルギニンなどのアミノ酸、ラクトース(乳頭)、難消化性糖質、カゼイン由来のホスホペプチド(CPP)などがある。

一方、リンはカルシウムとの親和性が高く、動物実験では大量摂取によりカルシウムの吸収を妨げ、高リン血症を呈する。これは腸管腔内でカルシウムとリンが直接結合して不溶性複合体を形成すること、高リン血症により腎での1α、25-(OH)2D3の合成が低下することとによるものと考えれている。

カルシウムとリンの比は2:1が適当とされているが、リンは食品中に比較的多く含まれるため、この比は2:0.5程度が実際的であるという。

またシュウ酸やフィチン酸も消化管内でカルシウムと不溶性の塩を形成し、カルシウム吸収抑制的に作用する

B血液中のカルシウムホメオスタシス

血液中のカルシウムはほとんど細胞外の血清(血漿)中にあり、その濃度は9~10mg/dlという極めて狭い範囲で厳密に保たれている。

血清カルシウムが低下すると副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が増し、カルシトニン(CT)のそれは減る。その結果、骨吸収、すなわち、骨からのカルシウム溶出が増し、腎からのカルシウム排出が減り、PTH刺激により腎での1α、25-(OH)2D3産生があがり腸管からのカルシウム吸収が増す。

一方、血清カルシウム濃度が正常範囲よりほんの少しだけ上昇すると、PTH分泌が抑制され、CT分泌が刺激され、その結果、骨吸収が減り、腎からのカルシウム排出が増し、腸管からカルシウム吸収が減る。

C骨粗鬆症

骨量は骨吸収と骨形成のバランスによって決まり、30~40歳の頃に最大骨量に到達し、以後は骨吸収が優位となり骨量が減っていく。骨粗鬆症は骨気質のカルシウム含有量が減る疾患であり、特に手首、脊椎、股関節で骨折が起こりやすくなる。

大豆に含まれるイソフラボンが、エストロゲン様作用により骨吸収を抑制し、骨密度低下を防ぎ、骨粗鬆症予防的にも作用することが報告されている。


 
 
 
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