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●疲労と温泉療法

■温泉の生体作用

A 直接作用

・物理作用: 全身水浴では、浮力により体重が1/9に減じる。身体の受ける静水圧により、肩まで浴槽につかると、胸囲では1-3cm、腹囲は3-6cmも減少する。

・温熱作用: 水温が36℃前後の不感温度では諸機能に与える影響は小さいが、38℃以上になると心拍数や心拍出量などが増加する。高温浴や冷水浴(25℃以下)は交感神経の緊張を促し、微温浴や温浴(37-40℃)では副交感神経系が優位となり、鎮静的に働く。

B 間接作用

・温泉療法では、温泉浴や運動などの治療刺激が反復負荷されるほか、温泉の温度、水圧、含有成分、酸性度、荷電状態などが総合的な刺激として働き、温泉地への転地による心理効果や温泉地気候への暴露なども複合的な刺激として作用する。

■人工浴用剤(入浴剤)について

・温泉の成分を含む人工浴用剤を用いた入浴の疲労効果は、その成分と濃度、また湯量の面などから天然の温泉に劣るが、利便性の面で利用価値がある。

・単純泉と芒硝(硫酸ナトリウム)と重曹を主体とする人工塩類泉バスクリンを比較したところ、バスクリン泉入浴は、単純泉よりも、高血圧患者において強い降圧作用、血管拡張作用、心拍出量促進作用、深部体温の高値とその持続作用、交感神経刺激作用、静脈の浄化作用などを示した。

『疲労の科学』井上正康・倉垣弘彦・渡辺恭良編 より