STRATEGIC TRAINING SYSTEM

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パフォーマンスを早く、そしてシンプルに改善させたいスポーツ選手にとって古来から行われてきた方法がこの指圧です。このシンプルで余計な手間がかからない優れた治療法は何世紀もの間、痛みや腫れの軽減、筋のリラクゼーション、治癒能力向上、不眠症の治療、血液循環の向上、集中力向上、柔軟性の改善を目的として広くは一般の人々、そしてスポーツ選手によって行われてきました。

指圧治療は薬を投与することもなく、治療による副作用もなく、高価な医療器具を使用することもなく、とても自然に容易に行える療法です。そのためコーチやトレーナー、スポーツ選手や趣味で運動を行う人々まで幅広く利用することができます。

指圧で刺激するポイントは鍼と同様、”経絡”と呼ばれるエネルギーの通路です。通常、指圧は指圧は自分自身でも行うことができるため時間や場所をあまり必要としませんし、それほど深刻ではない症状の場合に行います。一方、鍼治療は指圧で行われる場合と比べてしばしば症状の深刻な場合に用いられ、施術も認定された鍼治療者によって行われます。

指圧とスポーツとの関連について具体的に述べられている代表的な書籍にデヴィッド・J・ニッケル東洋医学博士の著書が挙げられます。この手技による自助本ではスポーツ選手のパフォーマンスを向上させるため数多くの怪我や大会中の処置について書かれています。また大会前の指圧のエネルギー向上、注意力の向上、反射神経の向上、心身の協調性の向上などを目的として行います。


では自分で指圧を行う方法をみていきましょう。まずは経絡の位置を知ること(本屋さんなどで経絡のチャートなどを購入することができます)。そして経絡の位置を把握した上で対象とするポイントに対して心地よい痛みを感じるまで押さえていきます。短く、何度も押すような指圧は活性化、ゆっくり、数回押すような指圧はリラックスの効果があると言われています。

筋違いや捻挫などの場合;まず対象となる経絡をしっかりと5秒間押さえます。そして5秒間かけてゆっくり圧をゆるめていきます。これを1サイクルとして約1分間繰り返します。

指圧の生理学的な機能に関しては様々な理論があります。ひとつは昔から伝えられている中国の”経絡理論”、そして痛みのメカニズムに関して西洋の多くの科学者達が同意する理論としてロナルド・メルザックとP・D・ウォールがサイエンス誌に発表した”ゲート・コントロール理論”が挙げられます。

鍼や指圧などによる感覚刺激は痛みの刺激と比較して4倍早く脳に送られます。この感覚刺激が神経に先に送られるため痛みの元となる刺激のメッセージが脳に届く前にブロックされるということです。この刺激向流は脊髄の神経細胞に通常より多く電気刺激を送り、知覚的な痛みを制限します。

メルザックはその後、経絡とトリガーポイントの位置に71%の割合で一致があること、筋中にあるこれらのポイントにとりわけ酷い痛みがあるということを発見しました。そして彼はトリガーポイントや経絡に強い刺激を頻繁に与えることによって、痛みから開放されるということを発表しました。そしてニューヨーク州、シラキューズのメディカルセンターの整形外科医であるロバート・O・ベッカー医師はこのメルザックの理論をさらに具体的にしました。

耳や手、その他の部位にある刺激を感知する場所はそのメッセージを刺激として認識します。そしてそれを神経刺激に変換させ脳まで送ります。脳において、この電気刺激は最終的に松果体に到達し、エンケファリンやエンドルフィンなど痛みを抑制するような鎮痛ホルモンの分泌を刺激します。これらのホルモン物質はモルヒネの数倍も強い効果を持つため痛みの抑制に役に立ち、幸福感に溢れた様な状態になれると考えられます。

指圧についてはその効果は多くの人に認知されているにもかかわらず、まだ科学的に解明されていない部分が見られます。したがって今後さらに科学的効果、スポーツとの関連性を証明するにはさらなる研究が必要になるでしょう。指圧の効果は痛みの抑制、筋のリラクゼーションだけではなく不眠症、腹痛、疲労、欝、生理痛、神経性不安症などの改善にも役立つといわれています。

 
 
 
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